二つの中国 2011 1 16
以前、私は、「沖縄と中国 2010 3 27」という記事の中で、
「もし、あなたが中国の軍事指導者だったら、どう思うでしょうか」と書きました。
この文章を、あえて「政治指導者」ではなく「軍事指導者」とした意味が、
最近の相次ぐニュースで理解されたと思います。
これは、共産党指導部の指導力の問題ではありません。
現指導部は、総合的には実績において合格点がつくでしょう。
しかしながら、どんなに優れた政治家でも、
軍が巨大化してしまえば、軍をコントロールすることはできません。
やがて、軍は自らの意思を持つことになります。
これは、人類の歴史が示すところです。
北朝鮮は、意図的に先軍政治を行っていますが、
中国の場合は、結果的に先軍政治になるでしょう。
多くの人は、ソ連のKGBというと、
国民を監視する秘密警察を連想するでしょうが、
実は、KGBは、ソ連の共産党が、
巨大なソ連軍を監視・支配するために存在していたと、私は思っていました。
ソ連軍の各部隊に、KGB将校が配置されていたのです。
中国においては、政治的な権力と軍事的な権力が覇を競う事態もあるかもしれません。
いずれにせよ、結果的に先軍政治になるかもしれません。
沖縄と中国 2010 3 27
最近(2010年3月27日当時)、日本国内では、
沖縄の海兵隊基地の問題で大騒ぎとなっています。
この問題に関しては、一見、無関心を装っている中国も、
本当は、手に汗握るような思いで見ているでしょう。
もし、将来、気候変動や自然災害がなかったら、
中国は、経済的にも、軍事的にも世界最強の国となるでしょう。
そこで、もし、あなたが中国の軍事指導者だったら、どう思うでしょうか。
まず、机の上に、世界地図を広げてみる。
千島列島や樺太がロシア領であるように、
台湾や南西諸島が中国領であっても不思議ではないと思うでしょう。
(ここでは、南西諸島とは、西表島から種子島までと定義します)
ただし、これは妄想に終わるでしょう。
現在のところ、日本は、アメリカに次ぐ経済大国で、
沖縄には、世界最強のアメリカ軍が駐留しているからです。
しかし、将来、日本経済が衰退し、
アメリカ軍が沖縄から撤退した時、
このような妄想は、現実のものと変わるでしょう。
アメリカが発展する時、
アメリカの国力は、西へ拡大してきたのです。
東海岸から西海岸へ、
西海岸に達すると、次は、ハワイ。
戦後は、ハワイから沖縄まで拡大したのです。
中国が発展する時は、東へ向かうでしょう。
東シナ海、東太平洋、ハワイ。
中国が東へ拡大する時、南西諸島は、ちょうどよい橋頭堡となるでしょう。
半島や諸島(列島)は、海の勢力にとっても、陸の勢力にとっても、
必ず、橋頭堡として使われることになるのです。
そういうわけで、半島や諸島(列島)に住む人たちは、
賢く生きなければならないのです。
つまり、常に国際情勢に敏感である必要があるのです。
誤解のないように書きますが、
以上の文章は、あくまでも軍事的・地政学的観点から書いたものです。
現在、日本と中国が目指しているところは、
経済発展や経済的な繁栄です。